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神戸芸術工科大学 ファッションデザイン学科 教授 見寺貞子さん

第2回 神戸芸術工科大学 ファッションデザイン学科 / 教授 見寺貞子さん ”いきいきと明るい高齢社会へ。「ユニバーサルファッション」を提唱”

神戸市郊外、緑に囲まれた学園都市にある神戸芸術工科大学。
芸術系大学らしく個性的な建物に囲まれた
心地よいキャンパスの中で、
見寺貞子先生は、ファッションデザイン学科教授として、
ファッションに関する教育と研究に携わっておられます。
中でも見寺先生が、ライフワークとして取組むテーマが、
「ユニバーサルファッション」。
ファッションは本来、生活や暮らしをより楽しくしてくれるものであり、
それは、高齢者や障がい者の方でも
バリアフリーに楽しめるものであるべき、という理念に基づき、
この分野の基礎研究から、
産・官・学連携による教育啓蒙活動など、幅広く活動されています。
そこで、先生と「ユニバーサルファッション」との出会い、
「ユニバーサルファッション」の役割と可能性など、
さまざまなお話をお伺いしました。

震災から復興へ。神戸の街で体感したファッションの力と役割。

神戸の震災を契機に「ユニバーサルファッション」に
出会ったとお聞きしました。

■見寺
私は長らく百貨店でファッションに関わって
仕事をしてきました。
時代の最先端を行く生活提案をしてきたという
自負がありました。
でも、平成7年の神戸の震災を体験して、
大変ショックを受けたんです。
というのも、災害直後の過酷な生活をする上で、
それまで提案してきた最新のファッションが、
何の役にも立たなかった。
自分がこれまで専門にしてきたファッションデザインって
なんだったんだろうと思いました。
そこで、被災地におけるファッション環境について
研究したのですが、震災直後は、やはり生活する上で、
服にはまず機能性が求められました。
寒さ、雨風をしのいで、できるだけ動きやすくと。

でも6ヶ月が過ぎ、だんだん世の中が平穏になってくると、
明るい色の服が着たい。お洒落もしたい。
ズックを脱いでパンプスへ、という気持ちが出てきたのです。
着ている物が明るくなってくると、人々の表情も、
街の空気も変わってきました。

みんな前向きに、復興へと気持が切り替わったのです。
そのとき改めて思いました。
機能って大事だけれどそれだけじゃない、
お洒落って気持の部分に働く大きな力を持ってるんだと。

それからしばらくして、
兵庫県立総合リハビリテーションセンターを訪れました。
そこでは、障がい者に配慮した多くの福祉機器が
展示されていたのですが、
衣類に関するものはごくわずかしかない。
オムツやパジャマなんかですね。
その中で、「赤い水玉のバレエシューズ」が
ひときわ目に付きました。
係りの人に聞くと「障がい者の方に一番人気があるんです。」と。
ここでもまた障がいがあろうと高齢者でも、
自己表現やお洒落に対する感心は高いんだ、
と気づかされました。

しかし現実は選べるものがない。
若者中心のファッション環境と大きな隔たりがある…。
そして、震災の翌年、
「高齢者や障がいのある人々のためのファッションショー」の
お話がありました。
震災以後、人間にとっての衣服とは、
ファッションデザインとは何なのか、をずっと考えてきたので、
「よし、このショーを通じて年齢や障がいの有無に関わらず、
お洒落で身に着けやすいファッションの提案を試みよう!」と、
決めました。

「ファッションデザインは、キャンバスの中だけでは学べない」現場を知り体験することが大切を信条にユーモアに溢れた授業を展開。

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