COOCAN人探訪 > 第1回 株式会社 久宝金属製作所 代表取締役 川添光代さん

「モノ」と「ヒト」との素敵な関係を訪ねて COOCAN人探訪 クゥカンジンタンボウ

人と人との縁が、プロダクトデザインの理想へ導きます。

新しい商品の「n-bench」も、そんな社長の想いが
詰まった商品ですね。

■川添
"金属" 製作所から生まれた"木工" 製品です。(笑)
昔、昭和の時代には夏になると家の前に
縁台が出ていましたでしょう。
将棋を指すお父さんの周りには子供たちも集まる。
社交場だったんですね。
そのように人と人の「ご縁」を繋ぐものとして、
「n-bench」を作りました。

著名な工業デザイナー、
秋田道夫さんのデザインで生まれた製品ですが、
私たちと秋田さんとのご縁から始まり、
この四万十ヒノキの故郷、高知県の大正町とのご縁もあります。
この町でヒノキを育てることは、
百年の計画を立てることなんですね。
ということは、その山を受け継いでくれる
若い人も育てていかなければいけません。
この町では、県外からも含めて町全体で若い人を受け入れ、
育てている。
その姿に感動しました。
まさに人が繋がって山を、ヒノキを守る
輪が出来上がっていたのです。
そのヒノキを使って製品にする秋田さんも私も、
その製品を買ってくださる人も、
その輪の中に生きていますから。
みんな縁でつながっているんですね。

プロダクトデザインには愛情が必要だと、
おっしゃっていますが。

■川添
秋田さんと久宝のコラボで生まれる「もの達」に
「KUFU」というブランド名をつけました。
「KUFU」は、「工夫」から来た名前です。

n-benchにももちろん「KUFU」の大切な思いが
込められています。
やや低めのベンチは、時には本を読むために寝そべったり
床にすわって書き物をするための
机やテーブルとして使えるかと思います。
それは使う人それぞれの「工夫」にゆだねられているんです。
私たちが想像できない使い方をされるかもしれない。
でもその工夫が「豊かさ」 でもあると思います。
そして、自分なりの工夫をして、
いろんな形で使って行けばきっと「愛着」も生まれます。

作り手が込めた「愛情」と、
使い手の暮らしの中で芽生える「愛情」。
モノを通して、こうして作り手と使い手がコミュニケートできる。
これってプロダクトデザインの理想じゃないかな、と思うんです。

川添さんはジャズシンガーでもあって、
ライブもされているとお伺いしました。

■川添
ある時仕事のストレスから息が苦しくなって、
腹式呼吸でも習おうと思って行った先が
たまたま、ジャズボーカルの教室だったのです。
ジャズなんて知らなかったし、
まさか人前で歌う事になろうとは全然予想もしていませんでした。
でも、今はライブで歌う事が楽しくてなりません。
何十年も生きてきて、自分を分かっているつもりでしたが、
人には自分でも知らない能力がいっぱいあるんですね。
歌う事を通して、自分を更に深く知る事になりましたし、
新しい自分を発見しつづけています。それが楽しくてなりません。

ものづくりにおいてもまだまだ色々な可能性を求めて、
色んなチャレンジをしたいです。
「人と繋がる」そんな理想のデザインを求めて
形にして行きたいと思っています。

創造的ものづくり集団
株式会社 久宝金属製作所 http://q-ho.com/

(株)久宝金属製作所の作業場。

(株)久宝金属製作所の作業場。壁には工具をマジックで模ったイラストが。

貯木場に集められた木。

貯木場に集められた木。等級や大きさによってまとめて山ができています。

KUFU(工夫)ブランド「n-bench」。

KUFU(工夫)ブランド「n-bench」。手に吸いつくようなしっとりとした手触りは、感動すら覚える。

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